箱の中に僕らはいる
暗闇の中 小さな穴から見えるモノだけを見る
コレが僕にとっての当たり前だった
あの人が現れるまで…
悲しい瞳で僕を見ていた
牙を剥くようににらんでやった
「かわいそうに……」
僕は無性に腹が立った
その日から僕は爪を立て 眠らない日が続いた
箱を何度もたたいた
血が拳から出ても…叫ぶ声が枯れたとしても
出してくれよ…悲痛な声はどこにもどこにも届かない
あっちの世界に行きたいんだ…
生きたいんだ…新らしい僕を見つけたいんだ……
ガタンッ!!! ……開いた……あっさりと……
僕は走り出した どうしてもあの人に会いたかった
会って殴りたかった 殴ってから願いたかった
僕を生かしてくれてありがとう これからもよろしく
そうやって言いたかった……もつれる足にヨタヨタとしながら…
夜の街をひたすら走る…そして…
あの人は笑顔で迎えてくれた お茶を出して
温かい手を差し出したので……殴る気が失せた
高柳さんから頂いたお話に絵をつけさせていただきました